相場が急変したときに生じる「値動きのズレ」

投資信託を保有していると、市場全体が大きく下落する局面や、特定の業界が急上昇する局面に遭遇することがあります。その際、自分の保有している商品が「ニュースで報道されている市場の数字と違う動きをしている」と感じることがあります。

投資信託には大きく分けて「インデックス型」と「アクティブ型」がありますが、両者は相場変動が起きたときの値動きの特性が異なります。どちらが優れているかという問題ではなく、それぞれが「どのような仕組みで価格が動くのか」を事前に知っておくことが、長期保有のストレスを減らすうえで重要です。

今回は、市場の局面ごとの値動きの違いと、それに伴う保有時の心理的な受け止め方について整理していきます。


上昇局面と下落局面における値動きの特性

インデックス型とアクティブ型では、運用の目的が異なるため、相場の波に対する反応の仕方が分かれます。

インデックス型:市場の波をそのまま受け止める

インデックス型は、特定の指数(日経平均株価やS&P500など)と連動することを目指して運用されます。

  • 上昇局面: 市場全体が上昇しているときは、その恩恵をそのまま享受します。一部の銘柄が突出して伸びていなくても、全体の底上げによって基準価額が上がります。
  • 下落局面: 市場全体が急落したときは、基本的に市場と同じ割合で下落します。銘柄の入れ替えや現金比率の引き上げなどを機動的に行わないため、市場の下げをそのまま受けることになります。

市場平均に連動するという設計上、市場全体の動きから外れるような独自の値動きは基本的に起こりません。

アクティブ型:運用戦略による独自の舵取り

アクティブ型は、指数を上回る運用成果を目指したり、独自の投資基準に基づいて銘柄を選定したりします。

  • 上昇局面: 運用チームが成長を見込んだ銘柄群が市場の平均以上に伸びれば、指数を大きく上回るリターンを得られる可能性があります。一方で、選択した銘柄が市場のトレンドから外れていると、市場全体が上がっているのに伸び悩むこともあります。
  • 下落局面: ファンドの設計によっては、下落に強い銘柄を選別したり、相場急変時に現金の比率を増やしたりして下落幅を抑えようとするものもあります。ただし、特定の成長企業に集中投資しているようなファンドでは、市場平均よりも大きな下落を記録することもあります。

このように、アクティブ型は運用の戦略や組み入れ銘柄の内容によって、相場急変時の挙動がファンドごとに大きく異なります。


相場下落時に生じる「保有ストレス」の違い

資産運用を続けるうえで大きな壁となるのが、一時的な損失を抱えたときの不安です。このときの不安の性質は、インデックス型とアクティブ型で異なります。

インデックス型を保有している場合

インデックス型で下落を経験した際、値下がりの理由は「市場全体が下がっているから」という客観的な事実に集約されます。

  • 納得感の持ちやすさ: 経済ニュースなどで市場全体の下落要因が明確であれば、自分の選んだ商品特有のトラブルではないと判断しやすくなります。
  • 注意点: 市場全体の低迷が数年から十数年にわたって続く場合、そのまま資産評価額も低迷し続けることになります。「市場全体が戻るまで待つ」という強い握力が必要になります。

アクティブ型を保有している場合

アクティブ型で下落を経験した際、下落の要因は「市場要因」と「ファンド独自の銘柄選択・運用戦略の要因」の2つに分かれます。

  • 納得感の難しさ: 市場平均よりも大きく下落したとき、「これは一時的な戦略上の調整なのか、それとも運用の見立てが外れたのか」を判断するのが容易ではありません。
  • 信頼の継続: ファンドマネージャーの投資哲学や運用報告書を定期的に読み込み、その戦略に納得し続けられるかどうかが、保有を継続できるかどうかの分かれ目になります。

どちらの特性が自分に合っているかを判断する視点

商品の優劣を決めるのではなく、自身の性格や情報収集のスタイルに合わせて選ぶことが大切です。

1. 値動きの理由をどう把握したいか

  • 「ニュースで流れる市場平均を見て、自分の資産の状況を直感的に把握したい」という場合は、インデックス型の連動性が分かりやすく感じられるでしょう。
  • 「特定の分野や、独自の哲学を持った企業群を応援したい」「相場の波とは違う独自の成果を期待したい」という場合は、アクティブ型の特徴が選択肢になります。

2. コストの差をどのように位置づけるか

投資信託には保有中に日々差し引かれる「信託報酬」という運用管理費用があります。一般的に、調査や分析に手間がかかるアクティブ型は、インデックス型に比べて信託報酬が高めに設定される傾向があります。

  • 手数料をできる限り抑えて市場並みの成果を確実に狙うか
  • 手数料の負担を受け入れたうえで、独自の戦略による超過成果やリスク低減を狙うか

この費用対効果の捉え方も、重要な判断軸となります。


まとめ

インデックス型は「市場の平均値を受け入れる設計」、アクティブ型は「運用戦略に基づいて市場とは異なる成果を目指す設計」です。

相場の上昇時・下落時において、それぞれがどのような動きをするのか、その動きに対して自分自身が納得感を持って保有し続けられるかどうかが、長期投資を継続するためのポイントになります。

投資は自己責任で、最新の制度や各商品の詳細については公式情報をご確認ください。