はじめに:なぜ始める前の準備が必要なのか
資産運用に関心を持ったとき、どのような制度があるか、どんな金融商品があるかといった情報に目が行きがちです。しかし、商品や口座を選ぶ前に、自分自身の中で基準を整理しておくことが大切です。
準備をせずに投資を始めてしまうと、日々の価格変動に不安を感じて途中でやめてしまったり、急な出費が必要になった際に損失が出ている状態で資産を売却せざるを得なくなったりすることがあります。
無理のない資産形成を続けるために、あらかじめ決めておきたい「目的」「期間」「余裕資金」という3つの要素について、具体的な考え方を見ていきましょう。
1. 投資の「目的」を明確にする
投資を始めるにあたって、まず考えたいのが「何のためにお金を用意したいのか」という目的です。
目的が曖昧なままだと、どれくらいのリスクを取ってよいのか、どの制度を活用するのが適しているのかの判断が難しくなります。
よくある目的の例
資産形成の目的は人それぞれ異なりますが、代表的なものとして以下が挙げられます。
- 老後の生活資金の準備
- 子どもの将来の教育費
- 住宅購入やリフォームの頭金
- 将来の万が一の備えや選択肢を広げるための資金
目的が決まると、「いつまでに」「どれくらいの金額を目指すか」という目標が自然と見えてきます。目的によって適した運用方法や許容できるリスクの度合いが変わるため、まずはノートなどに書き出してみることをおすすめします。
2. 運用する「期間」を把握する
目的が決まったら、次にその資金を「何年間運用できるか」という期間を考えます。投資においては、運用できる期間の長さによって取れる選択肢が大きく変わります。
短期(数年以内)に使う予定のお金
数年以内に使う予定があるお金(例:近い将来の結婚資金や数年後の住宅頭金など)は、投資に回すのには慎重になる必要があります。
投資対象の価格は常に変動しているため、使う時期が来たときにちょうど値下がりしている可能性があります。使う時期を後ろにずらせないお金は、価格変動のない預貯金などで確保しておくのが基本です。
長期(10年以上先)に使う予定のお金
10年や20年といった長い期間使わないお金(例:遠い将来の教育費や老後資金など)は、長期的な運用に向いていると考えられます。
運用期間が長ければ、一時的に価格が下がったとしても、回復を待つ時間的な余裕が生まれます。また、時間を味方につけて資産形成を進めやすくなります。
運用の期間を分けることで、「価格が下がったからといって慌てて売却する必要があるか」を冷静に判断できるようになります。
3. 「余裕資金」の範囲を決める
3つ目に決めておくべきことは、「生活に影響を与えない余裕資金はいくらか」という金額の線引きです。
手元にあるお金をすべて投資に回してしまうと、病気や失業、急な家電の故障などのトラブルに対応できなくなります。お金は性質に応じて次の3つに分けて管理するのが基本です。
お金の3つの色分け
- 日常的に使うお金:日々の生活費や毎月の支払いに充てるお金(普通預金など)
- 万が一に備えるお金:急な出費や収入減少に耐えるための生活防衛資金(定期預金など)
- 当面使わないお金(余裕資金):上記2つを確保した上で、数年以上使う予定のないお金
投資に回すのは、この「3. 当面使わないお金(余裕資金)」に限定することが大切です。余裕資金で行っていれば、一時的に評価額が下がったとしても日々の生活が困窮することはなく、落ち着いて相場と付き合うことができます。
3つの要素を整理してから第一歩を踏み出す
投資を始める前の準備をまとめると、以下のようになります。
- 目的:何のために資産形成を行うのかを決める
- 期間:そのお金を何年間運用できるかを確認する
- 余裕資金:生活費や防衛資金を取り分けた上で、使わないお金の範囲を決める
これら3つの軸が定まっていると、市場が大きく動いたときでも自分の投資方針を見失わずに済みます。情報収集を行う際にも、自分に必要な制度や商品の条件が絞り込みやすくなります。
まずはご自身の家計と将来の計画を振り返り、この3つのポイントを整理することから始めてみてください。
※投資は自己責任で、最新の制度は公式情報をご確認ください。
